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チューリッヒ、ダダイズム100周年

2016年02月19日

今でも永世中立国という言葉が、スイスを平和な国家としてのイメージを確立しています。
第一次世界大戦後も同様で、多くの詩人や芸術家が安住の地を求めてスイスへ流れ込んできました。

©Cabalet Voltaire 芸術家たちの活動拠点だったカフェ キャバレー・ボルテール

©Cabalet Voltaire
芸術家たちの活動拠点だった文芸カフェ キャバレー・ボルテール

「ダダ」とは?

全ての美しいもの、文化、芸術などを否定し、破壊しようという考えで、反芸術運動とも言われます。

戦争がもたらした虚無感を根底に、芸術家の作品が既成概念を外し、無意識の世界を表現する「無意味なもの」に傾倒し、後にパリで生まれるシュルレアリスムと共に20世紀の前衛芸術の二大潮流となっていく思想や運動です。

1916年2月5日、チューリッヒの文芸カフェ、キャバレー・ヴォルテールにて、
フランスの詩人トリスタン・ツァラらが「ダダ」宣言をします。

©Cabalet Voltaire

©Cabalet Voltaire

キャバレー・ヴォルテールはチューリッヒ中央駅から徒歩10分。
旧市街の趣ある通りの一角に面しています。
路面店には、小物や雑貨を扱うショップ。
その上にはカフェ・バーが午後のみ営業しています。

今年は、100周年を記念して、ここで、2月5日~7月18日に、この165日間で165人のダダの影響を受けた現代芸術家たちに焦点を当てた展示が行われます。
http://www.cabaretvoltaire.ch/haus/cafebar-duda.html

©Makiko Takahashi

©Makiko Takahashi
2月5日のイベント風景

©Makiko Takahashi

©Makiko Takahashi キャバレー・ヴォルテール内での展示品

チューリッヒ美術館でも2月5日~5月1日、ダダ世界の再建に関する200点を超える展示が催されます。
http://www.kunsthaus.ch/en/information/press/press-images/annual-programme-2016

©2015 ProLitteris, Zurich

©2015 ProLitteris, Zurich ダダとシュールレアリスムを結びつけたといわれるマックス・エルンスト作,「チャイニーズ・ナイチンゲール」 1920年,チューリッヒ美術館

戦争からの逃避。
きっとそこから生まれたのですが、「美しいだけが芸術ではない」という精神は、
今でもダダ愛好者に引き継がれています。

これからも戦争の無い世界を願って、スイスの美術館を巡ってみませんか?!
日常の美しさ、当たり前のありがたさを再確認できるかもしれませんね。

 

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