夕日が沈んでいる頃にふと後ろを向くと、
こちらにも絶景が。
グリンデルワルトの象徴の山、ヴェッターホルン(3692m)。
ハイジが「山が燃えている」と表現しそうなアーベントロートでした。
ちなみに日本人では昭和天皇の弟にあたる
秩父宮殿下が槇有恒氏を伴ってこの山に登られています。
さらに右手にはベルン州最高峰のフィンスターアールホルン(4274m)の横には、
綺麗な満月が浮かんでいました。
この時間の山は静かで穏やかで、
昼間にみる表情とはまた違って見えました。
この日はしばらく悪天候が続いた後で、ようやく晴れた日。
山小屋の外には、予約が取れなかったため、
シュラフで寝る人も数名いました。
この後はしばらく談話タイム。
ビールを飲みながら過去の登山話を話し合う人も居れば、
サクっと寝る人も。
ダイニングルームにはこの時までに、
どのグループが何時から食事をするかが張り出されていて、
地元のガイドがいるパーティーを中心に3時ぐらいから4時半ぐらいまで
30分ごとに割り振られています。
私たちのパーティーはゆっくり4時半からでしたので、
こんな山の上で500mlのビールを一人3本も空け、
明日へのガソリン補給!
夜10時ぐらいになるとさすがに小屋は静まりかえってきます。
私たちも明日の起床時間を確認して就寝。
・・・しかし、緊張からなのか、興奮からなのか、
周りのいびきオーケストラのシンフォニーの為か、
一睡も出来ず2時に。
用を足しに小屋の外のトイレへ行くと、
またまた綺麗な景色を目にし、急いでカメラを取りに戻ります。
一面に広がっていた雲海が消え、
ヴェッターホルンの裾野に広がるグリンデルワルトまでくっきりと見えます。
思わず我が家の場所を確認してしまいます。
満月のお陰でまるで昼間の様な明るさ。
月光が作ったアイガーの影も右手には見えています。
うっすらと遠くが赤く、日の出の用にも見えますが、
おそらくこれは少し大きめの都市・ルツェルンの街明かりでしょう。
シュレックホルン(右手・4078m)やフィンスターアールホーンが見える南側には、
オリオン座も輝いていました。
この景色を見た時点で眠気は既にどこかへ飛んでいきました。
(正確には三脚の無い中でこの写真を撮るために
試行錯誤を重ねてなんと1時間近く掛かってしまいました。。。)
アイガーのある西側にはちょうど満月が綺麗な位置に。
山肌に小さく見えるのは、既に登山を開始した方々のヘッドライトです。
この時点で小屋の外で寝ていたパーティーが居なかったので、彼らかな。
4時を過ぎてくると3時半から朝食を食べて居たグループが
どんどんと登っていきます。
本当は山陰に満月が入った姿を撮りたかったのですが、
ここで自分たちの朝食時間が来てしまい、渋々小屋の中へ。
昨夜の意外にも豪華な夕食にくらべ、
随分とスイス的な朝食。エネルギー補給の為には
文句も言ってられないので、手当たり次第おなかへ。
小屋を出て、しばらく進んで、はっと気づきます。
昨日小屋の柵に引っかけていたピッケルを忘れてしまいました!!
回れ右をしてピッケルを取りに小屋へと戻ります。
やっぱり寝不足は良くない。
落ち着いて確認したつもりが、全くダメダメでした。
そうこう手間取っているうちに、
夜が明けそうになってきました。
ということで、改めてイザ出発!!
小屋を出て10分ほどはダラダラとなだらかな斜面を
歩いて進むだけです。足下はもちろん平らでは無いので
注意が必要ですが、特に危険を感じる所もなく、
登り始めにはちょうど良い感じです。
その後初めてのフィックスロープが張られているエリアへ。
ここでは先行のパーティーが既に順番待ちをしてい、
出発15分でさっそく小休止。
出発まで長くなりすぎたので、
これを「アイガー登山(中編)」として、
別途後編を綴ることにします。
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